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てんかんとは?

脳神経における異常な電気的興奮に伴ってけいれんや意識障害といった「てんかん発作」が慢性的に繰り返し起こる病気です。「てんかん発作」は電気的興奮を起こした脳の部位によって症状が様々です。
てんかんを持つ人の割合はおよそ100人に1人といわれています。子どもから大人まで発症する病気で、特に新生児・乳幼児期での発症率が高く、成人では発症率が減少しますが、老年期で脳血管障害などを原因とするてんかんの発症率が増加します。日本には約100万人のてんかん患者さんがいると考えられており、てんかんはとても身近な病気だといえます。

てんかん

難治性てんかんとは?

てんかんの治療は抗てんかん薬による薬物療法が中心となります。適切な抗てんかん薬を服用することで約7割のてんかん患者さんは発作をコントロールすることができます。
薬物治療によって発作をコントロールできなかった約3割のてんかん患者さんは難治性てんかん(薬剤抵抗性てんかん)と呼ばれ、外科手術や迷走神経刺激療法、食事療法などが検討されます。
『医学的な意味での難治てんかん(薬剤抵抗性てんかん)は,そのてんかん症候群または発作型に対 し適切とされている主な抗てんかん薬 2〜3 種類以上の単剤あるいは多剤併用で,かつ十分量で,2 年 以上治療しても,発作が 1 年以上抑制されず日常生活に支障をきたす状態と定義される』日本神経学会 てんかん治療ガイドライン2010より引用

難治性てんかん

迷走神経刺激療法(VNS療法)とは?

迷走神経刺激療法は難治性てんかんに対する治療方法の1つです。直径5cm弱のパルスジェネレータから、首の左側にある迷走神経に電極を巻き付け、一定の間隔で繰り返し電気刺激を送り、てんかん発作の回数を減らしたり、発作の程度を軽くします。最近ではてんかん発作に伴う心拍数の上昇を検出して、自動的に刺激を行う装置が承認(発売?)されています。
世界では10万人を超える人が迷走神経刺激療法による治療を受けています。

迷走神経刺激療法(VNS療法)

【補足】
外科治療(開頭術)の対象とならない、または外科治療後に発作症状が残存するようなてんかん患者さんであれば年齢、発作症状を問わないため幅広い難治性てんかん患者さんが適応となります。
発作の減少と同時に覚醒度や活動性の改善といった生活の質(QOL)の改善も報告されています。